とり残されて(その1)
2002年5月12日小説。
宮部みゆき。
短編集。
「とり残されて」
叶える事のできない復讐。
行き場のない気の狂うような憎悪を抱えながら
なんとか小学校の保健教師という職に就き、
毎日を過ごしている女性の前に、一人の少年が現れる。
「せんせい、あそぼ。プールにおいでよ」
翌日、学校のプールには、見知らぬ女性の死体が
浮かんでいた・・・。
「おたすけぶち」
10年前に交通事故で兄が行方不明となった、
山奥の、事故が多発する「おたすけぶち」。
孝子は裁判諸々の報告を兄にするため、
10年ぶりにこの土地を訪れていた。
ところが、最寄りの村の土産屋で買った
見事な草木染めのハンカチの中に、
兄の名前と同じサインが入っているのをみつける。
もしかしたら、兄は生きているかも知れない。
孝子は、草木染めの品を生産している
さらに山奥の村・・・・「おたすけぶち」の向こうにあるという
小さな村に興味を持った。
「私の死んだ後に」
一時期甲子園を沸かせた、期待のエース佐久間 実。
ところが、ある日を境に投球が乱れ、右手が上がらなくなり、
プロ球団からは選手登録を抹消され、
酔った勢いに任せてガラの悪いファンとケンカをし、
腹部を刺されてしまった(散々やん)。
ふと気づくと、実は公園で倒れている自分の体を上から眺めていた。
「あなた、今死にかけてるの。ちょうど境目にいるのよ。
私は、あなたをあの世に案内する係なの」
今の流行りから2歩も3歩もズレたような
少しレトロな服装をした20歳前後の少女が、
実の前に姿を現す。
「居合わせた男」
仕事と私用を兼ねた松本への小旅行を終え
帰りの電車に乗り込んだ主人公・鳥羽
(40代・中小清掃会社社長)は、
すぐ後ろの席に座っていた若い女性2人組に声をかけられる。
馴れ馴れしい女たちの態度に辟易しつつ、
仕方なしに話に付き合っているうち、
その女たちの勤める会社でつい先日、飛び降り自殺騒ぎが
あった事が判明する。
興味を持った鳥羽は、事の詳細を聞き出しはじめる・・・。
「囁く」
社内報のコラムに書く内容に困った主人公は、
流行に敏感で面白い話題には事欠かない
幼なじみ・雅子の勤める銀行付近まで赴き、
彼女を喫茶店へ呼び出して「面白い話題」について尋ねた。
雅子は、先日自分の上司が
銀行の金を持ち出そうとした事件について話し出す。
「ねえ、ほんとにバカみたいな話なのよね。
だけど不思議と言えば不思議でしょ?
お札が口をきく、なんて」
「いつも二人で」
知り合いの夫婦が旅行で留守にしている間、
家の中の植物の世話などを任された相原真琴(男)
は、ある夜を境に、とんでもない状態になってしまった。
「お願いだからそんなに怯えないでよ」
「き、き、き、君、だれ??」
一つしかない真琴の口から発せられる、男と女の声。
真琴がどんなに口を押さえようと、
「女の声」は真琴の口から勝手に言葉を発してしまう。
「あたし、幽霊なの」
「たった一人」
梨恵子は最近、毎日繰り返し、同じ夢を見る。
交差点に立っていて、肉眼では一度にとらえようのない
膨大な情報量を正確に、緻密に眺める事ができている夢。
真っ赤なツツジ、見事な生け垣・・・。
自分には記憶のない景色だけれど、
どうやら梨恵子は、ここに来た事があるらしかった。
夢の場所は、どこに実在するのだろう。
そこを探し当てて、どうしてももう一度、そこを
訪れなければいけない気がする。
そして、その時がどんどん近づいている。
勤務先の近所にあった、流行らなそうなビルに事務所を持つ探偵
(本人は「調査員」と言っている)
河野に相談を持ち掛け、二人でその場所を探しはじめる。
宮部みゆき。
短編集。
「とり残されて」
叶える事のできない復讐。
行き場のない気の狂うような憎悪を抱えながら
なんとか小学校の保健教師という職に就き、
毎日を過ごしている女性の前に、一人の少年が現れる。
「せんせい、あそぼ。プールにおいでよ」
翌日、学校のプールには、見知らぬ女性の死体が
浮かんでいた・・・。
「おたすけぶち」
10年前に交通事故で兄が行方不明となった、
山奥の、事故が多発する「おたすけぶち」。
孝子は裁判諸々の報告を兄にするため、
10年ぶりにこの土地を訪れていた。
ところが、最寄りの村の土産屋で買った
見事な草木染めのハンカチの中に、
兄の名前と同じサインが入っているのをみつける。
もしかしたら、兄は生きているかも知れない。
孝子は、草木染めの品を生産している
さらに山奥の村・・・・「おたすけぶち」の向こうにあるという
小さな村に興味を持った。
「私の死んだ後に」
一時期甲子園を沸かせた、期待のエース佐久間 実。
ところが、ある日を境に投球が乱れ、右手が上がらなくなり、
プロ球団からは選手登録を抹消され、
酔った勢いに任せてガラの悪いファンとケンカをし、
腹部を刺されてしまった(散々やん)。
ふと気づくと、実は公園で倒れている自分の体を上から眺めていた。
「あなた、今死にかけてるの。ちょうど境目にいるのよ。
私は、あなたをあの世に案内する係なの」
今の流行りから2歩も3歩もズレたような
少しレトロな服装をした20歳前後の少女が、
実の前に姿を現す。
「居合わせた男」
仕事と私用を兼ねた松本への小旅行を終え
帰りの電車に乗り込んだ主人公・鳥羽
(40代・中小清掃会社社長)は、
すぐ後ろの席に座っていた若い女性2人組に声をかけられる。
馴れ馴れしい女たちの態度に辟易しつつ、
仕方なしに話に付き合っているうち、
その女たちの勤める会社でつい先日、飛び降り自殺騒ぎが
あった事が判明する。
興味を持った鳥羽は、事の詳細を聞き出しはじめる・・・。
「囁く」
社内報のコラムに書く内容に困った主人公は、
流行に敏感で面白い話題には事欠かない
幼なじみ・雅子の勤める銀行付近まで赴き、
彼女を喫茶店へ呼び出して「面白い話題」について尋ねた。
雅子は、先日自分の上司が
銀行の金を持ち出そうとした事件について話し出す。
「ねえ、ほんとにバカみたいな話なのよね。
だけど不思議と言えば不思議でしょ?
お札が口をきく、なんて」
「いつも二人で」
知り合いの夫婦が旅行で留守にしている間、
家の中の植物の世話などを任された相原真琴(男)
は、ある夜を境に、とんでもない状態になってしまった。
「お願いだからそんなに怯えないでよ」
「き、き、き、君、だれ??」
一つしかない真琴の口から発せられる、男と女の声。
真琴がどんなに口を押さえようと、
「女の声」は真琴の口から勝手に言葉を発してしまう。
「あたし、幽霊なの」
「たった一人」
梨恵子は最近、毎日繰り返し、同じ夢を見る。
交差点に立っていて、肉眼では一度にとらえようのない
膨大な情報量を正確に、緻密に眺める事ができている夢。
真っ赤なツツジ、見事な生け垣・・・。
自分には記憶のない景色だけれど、
どうやら梨恵子は、ここに来た事があるらしかった。
夢の場所は、どこに実在するのだろう。
そこを探し当てて、どうしてももう一度、そこを
訪れなければいけない気がする。
そして、その時がどんどん近づいている。
勤務先の近所にあった、流行らなそうなビルに事務所を持つ探偵
(本人は「調査員」と言っている)
河野に相談を持ち掛け、二人でその場所を探しはじめる。
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